ゼロから始めるローソク足(5)複数足分析「窓」

ローソク足シリーズ

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窓,アイキャッチ

複数足分析編その1

やってきましたゼロから始めるローソク足シリーズ、複数足分析編、第一回は「窓」についてです。
過去シリーズはこちらから。
トレーダーの皆さんがたまに「窓、窓」と言っていますが、実際のところ何について言っているんでしょうか。見ていきましょう。

「窓」について

連続した2本の足の終値と始値が重なっていない状態を「窓開け」、「窓」といいます。
下図のような形のものです。
窓,解説,ローソク足
その飛び方のギャップの大きさが分析対象になります。
FXでは滅多に窓が開かないので、髭が重なっていても、始値終値のギャップを窓と考えていいでしょう。
また、酒田五法というローソク足分析の古典で有名なものに、「三空」と呼ばれる形があります。オッスオラ・・・
昔の人は、この形を、「窓」ではなく、「空」と呼びました。
ギャップアップ(GU)ギャップダウン(GD)ともいいます。
ローソク足の終値と始値は通常大きく離れることはありません。
隣接して並んでいることがほとんどです。

「窓」ができる理由

ローソク足が更新された直後の取引に、大きな買いや売りが入った場合、窓が発生します。
取引量が極端に少ない時間帯では、板が薄いので、その時に発生する窓についてはあまり気にする必要はないのでしょうが、取引量があるときに発生する窓には、値動きの示唆が隠れています。
まとまった枚数の注文ができる参加者でなければ、大きな窓を作ることは困難です。
市場参加者の中で、戦闘力を持った者が、買いや売りと判断して市場に参加したか、何らかの理由でまとまった注文が入った結果、窓が開きます。
よって、窓の間隔が大きければ大きいほど強い値動きの示唆となります。
ただ、為替のような単一銘柄に近い取引では、日中、窓が開くほど強い動きが現れることはまずありません。
1/65536の子役を引くようなものです。
万が一(それ以上ですが)大きな窓が開いた時は見逃すことのないようにしましょう。
見たときの対処は普通は順張り(連続した3つ目の窓なら例外で逆張り)ですが、為替ではほぼ窓が開かないので、プライスアクション的な側面で使うことはあまりありません。

為替取引での「窓」

為替における「窓」で重要なのは、週末を挟んだ場合です。
休場時のニュースや経済指標の状況を見て、週明けに毎回市場参加者が相場を1から作り上げるわけですが、そのときの値付けに関しては窓が開くことになります。
特に、コロナやリーマンショックのようなパニック相場では、週末にビッグニュースが出てくる確率が高いです。
そのため、継続的に利益を上げたい人たちは、基本的に週末にポジションを持ち越すリスクをとるべきではないと言われています。
テクニカルでの順張りサインの「窓」と週を跨ぐ「窓」は、心理的要因で異なるところがあります。

窓埋めの法則

トレーダーの間では、窓ができる値動きを「窓開け」、窓の隙間を埋めるような値動きを「窓埋め」と呼んでいます。
特に、できた窓を埋めるような動きが高い確率で起こることを、窓埋めの法則と呼んでいます。
上髭・下髭が窓の始まりである終値にタッチした時点で、窓を埋めたと言います。
そして、窓を埋めた後は、再び窓を開けた方向へトレンドが傾く傾向があると言われています。
ただ、これは株式と違って為替ではあまり当てはまらないかなと思います。
以下は、ドル/円の大底の3月9日(月)以降の週末週明けの窓の状態です。

3/13(金)終値 107.960 3/16(月)始値 107.045
ギャップ -91.5pips 窓埋め 3/18 22時台(3時台に接近しているが、埋めてはいない)
その後のトレンド 窓開け方向と逆行して上昇
窓埋め,実例


3/27(金)終値 107.910 3/30(月)始値 107.686 ギャップ -22.4pips
窓埋め 3/30 7時台 その後のトレンド 11時までは窓開け方向に下降
4/10(金)終値 108.359 4/13(月)始値 108.399 ギャップ +4pips
窓埋め 4/13 7時台 その後のトレンド 窓開け方向と逆行して下落
✳︎窓を開けたが、有意だとは思われない
4/24(金)終値 107.442 4/27(月)始値 107.529 ギャップ +8.7pips
窓埋め 4/27 8時台 その後のトレンド 9時から10時まで窓開け方向に上昇後、下落 

株式でよく言われる、窓埋め後に、窓開け方向に再びトレンドを作るという部分は捨てた方がいいかもしれません。
ここ2ヶ月はあまり当てはまっていません。
窓は必ず埋まると言いますが、結構きつい3/16の窓も確かに2日後に埋まっています。
程々に開けた時は挑戦してみる価値がありそうです。
ただ、7時台や8時台に埋めた窓については、取引量が少ない時間帯での出来事ですので、あまり美味しい取引とは言えないでしょう。

なぜこのような値動きが起こるのか

為替の場合は、株式と違って一直線の上昇が何年も続くということが起きにくいためだとか、黒田パワーだとか、窓開けのギャップで利食いが発生するためだとか色々言われています。
実際のところは複合的な理由がありますので、よくわかりません。
なんか知らんけど埋まるでいいんじゃないでしょうか。
株式と違って為替は数年後何十倍になるとかは滅多に起きませんので、ある程度信頼性のある法則ではあります。

まとめ

FXでは、「窓」は週末以外あまり出現しない
株式と性質が違うので、窓埋めまでの動きに着目

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